第8回記念大会2021抄録

10:15-12:00 分科会ワークショップ・午前の部

(当日お好きなクラスをお選びください)

【分科会1】精神医療部門

「コロナ時代とソマティック」

演題「新型コロナ社会下における身体からみた心体問題」

 

座長:中田英之(泉州統合クリニック院長、協会運営委員)

 

CONTENT

2020年初頭から全世界規模で広がった新型コロナウイルス感染症による社会的混乱により、1年以上にわたって我々の日常生活は影響を受け続けている。そして、冷静に考えれば本来如何なるウイルス感染症であろうとも「身体」を整える事がまず優先されなければならないはずが、目先の情報は恐怖心に煽られて「身体」が忘れ去られる事態が発生してる。この事が、我々の「心体」に大きく影響し、現在抑鬱症状を訴える人が増加している。今回は、「身体」側からみた「心体」の影響という視点から新型コロナ社会下での問題について考察する。

 

PROFILE

1970年、奈良市生まれ。平成7年防衛医科大学校卒。産婦人科入局後、東北大学加齢医学研究所、癌化学療法専門分野にてp53関連研究に従事。慶応義塾大学医学部博士課程単位取得満期退学。慶應大での研究テーマは母子相関ストレス。練馬総合病院漢方医学センター長、大阪大学特任助教を経て現職に。日本産科婦人科学会専門医。日本東洋医学会代議員、EBM特別委員会委員、漢方専門医、漢方指導医。現在、上智大神学部にて「からだ派イエス」「からだ学」の講義を実施。からだの体験を基本としたnarrative医療を展開中。日本東洋医学会専門医・指導医。日本産科婦人科学会専門医。上智大学神学部非常勤講師。


演題「新型コロナが精神科領域にもたらした影響」

 田上真次(大阪大学大学院医学系研究科准教授)

 

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2020年3月以降、我々の日常生活は新型コロナ感染症に翻弄されてきた。特に演者が住む大阪府では感染第4波により、重症病床が飽和状態となり、重症患者の転院や軽症・中等症患者の入院が滞る事態に至った。中でも、単科精神科病院や老健施設などマスク着用が困難な入院患者や入所者が多い施設では、クラスター感染が頻発し危機的な状況に陥った。同様に、精神科通院患者の中にもコロナ禍の影響を少なからず受けるものが多かったが、一方で症状の改善を認めた例も散見された。本講演では新型コロナが精神科入院・外来診療に及ぼした影響を振り返り、今後の感染予防対策やメンタルヘルスを良い状態に保つ策を講じるきっかけとしたい。

 

PROFILE

平成8年3月  大阪大学 医学部医学科卒

平成13年3月 大阪大学大学院医学系研究科 医学博士

平成15年7月 大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室 助教

平成19年4月 大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室 医学部講師

令和元年8月 大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室 講師

令和 3年5月 大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室 准教授

研究分野:アルツハイマー病基礎・臨床研究 バイオマーカー開発

資格:精神保健指定医、精神科専門医・指導医、日本認知症学会認定専門医・指導医、日本東洋医学会専門医

 


演題「コロナ禍の大学と学生」

柳澤広美(上智大学 学生局長)

 

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新型コロナウイルス感染症の影響は早期に動き出していた就職活動を直撃し、大学行事は卒業式に続き入学式の中止からあっという間に緊急事態宣言に突入した。特に新入生にとっては思い描いていた学生生活とはかけ離れた環境の中で授業が始まり、友人のみならず教員、大学ともつながれない日々が続いた。この間学び、交流、教職員の働き方さえも変更を余儀なくなれたコロナ禍。大学がどのように学生と向き合ってきたか、様々な試みを紹介しながら新たな発見や感じたことを共有し、今後の対応について考えてみたい。

 

PROFILE

上智大学学生局長。1985年学校法人上智学院入職。法人及び教学部門をへて2017年7月より現職。


演題「かかりつけ心療内科から見た心身医療」

遊佐裕子(小池診療所 院長)

 

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当院は、地域での心身問題の相談窓口として診療をしている。心療内科では、薬物および精神療法、もしくは環境調整で対応することが治療であると考えられている。

2020年初旬から始まったコロナウイルス環境下において、多様な精神状態を呈する患者が増えている。一般心療内科の限界から、「体」の担当として漢方外来を院内併設することになった。

環境変化におけるうつ状態や、不登校および自傷行為のある思春期、DV体験後の筋痛、転移癌からの意欲低下などの患者について、漢方外来受診を進めた。身体機能の改善が心の改善と共存したケースを経験したため、発表の機会としたい。心身の治療として、中医学的介入が今後重要な治療的手段となるのではないだろうか。

 

 

PROFILE

1996年兵庫医科大学卒、大阪大学付属病院精神科にて研修、同大大学院にて遺伝学を学び博士号取得。アメリカロックフェラー大学にてDISC1変異モデルマウスプロジェクトでポスドクを務め、日本へ帰国後、イギリスサンガー研究所にてCRISPR-Cas9による網羅的遺伝子スクリーニングシステム構築にかかわる。2016年より帰国し臨床復帰、大阪大学精神科医局に所属し、榎坂病院勤務、精神保健指定医取得、2020年より小池診療所院長となる。

【分科会2】身体心理学部門

「コロナ禍におけるポリヴェーガル理論の応用可能性」

 

座長: 藤本靖(環境神経学研究所代表/本協会運営委員) 

花澤寿(千葉大学教育学部教授 精神科医)

浅井咲子(アート・オブ・セラピー代表・公認心理師)

廣田靖子(マインドセット・デザインズ代表・臨床心理士/公認心理師

 

 

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昨今コロナ禍において、自粛生活が長引き、ストレスが溜まって心身の不調が生じやすい世の中になっています。そこで本分科会では、Porges博士のポリヴェーガル理論からみた、コロナ禍において役立つストレス解消法や、セルフケアの方法、メンタルヘルスの予防法などについて、各演者から紹介して頂きます。演者はポリヴェーガル理論にも精通した、ボディワーカーや、心理カウンセラーなどを専門にしている方々にお集まり頂きます。最近注目されているポリヴェーガル理論を理解し、実践的にも役立つワークも体験できる予定です。

 

PROFILE

花澤寿:

【略歴】1986年 新潟大学医学部卒業、千葉大学医学部付属病院精神科、千葉県立こども病院精神科、帝京大学医学部付属市原病院精神科勤務を経て2002年千葉大学教育学部養護教育講座に所属。2011年より同講座教授 千葉大学医学部附属病院精神科兼務

【研究・活動】専門 思春期精神医学、精神病理学 

思春期一般、摂食障害、外傷性精神障害等を対象に、その精神病理学的理解と精神療法を中心に研究と臨床を行っています。Somatic Experiencing® 認定プラクティショナー

 

藤本靖:

上智大学非常勤講師(神経生理学、ボディワーク)。東京大学経済学部卒業。東京モード学園ファッションスタイリスト学科卒業。海外経済協力基金(現、国際協力機構)にて政府開発援助の業務に関わる。東京大学大学院身体教育学研究科修了。自律神経系/脳神経系の科学的探究とボディワーク実践の中から「快適で自由な心と身体になるためのメソッド」を開発。民間企業、研究機関、公的機関などと数多くの協業を実施。「脳幹リセットワーク~人間関係が楽になる神経の仕組み~」(講談社)など著書多数

 

浅井咲子:

【略歴】2007年 米国ジョンF・ケネディ大学院 カウンセリング心理学修士課程修了。神経自我統合アプローチ〔NEIA〕開発者。

 【著書】「今ここ神経系エクササイズ」、「いごこち神経系アプローチ」(梨の木舎 )、「安心のタネの育て方」(大和出版)など、翻訳書も多数。

【活動】様々な療法(SE™、IFS、CRM、PVTなど)を取り入れ、発達性トラウマによる愛着や解離に取り組んでいます。

 

 

廣田靖子:

高校教諭、外資系金融機関を経て、お茶の水女子大学大学院入学。発達臨床心理学を専攻(社会科学修士)。その後博士後期課程にて研究する傍ら、大学非常勤講師や医療、教育、産業分野での臨床経験を積む。

2016年マインドセット・デザインズを青山に開業。心理療法に加えニューロフィードバックやマインドフルネスを提供。2021年一社)Integral Vision & Practice設立。

著書:『自己心理学セミナー 自己理解に役立つ13章』勁草書房(分担執筆)。

 

 

 

 

*山口創先生は、諸事情により欠席となりました。ご了承ください

 

【ワークショップ1】

「マインドフルネスと身体性~身体に向ける態度 見張るから見守るへ~」

 

山口伊久子(マインドフルネス&ヨガネットワーク代表 日本マインドフルネス学会理事)

 

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マインドフルネスでは、観察する対象に注意を向ける時に「どのような態度で向けるか」を大切にしますが、この態度が忘れられがちです。特に、身体に対しては日常的な無理やダメ出し習慣から、多くの方が身体に思いやりを向けることが難しい言われます。本ワークショップでは、態度の向け方と気づきについてマインドフルネスの心理療法プログラムの事例を紹介するとともに、身体への注意の向け方(態度)を変えた瞑想を数パターン体験し、その時に起こる身体反応や感覚の違いについて、皆さんとシェアしながら身体へのかかわり方について考えていきたい。また、時間の許す限り動作瞑想としてのマインドフルネスヨガやマインドフルネス・セルフ・ボディタッチを体験いただきます。

 

PROFILE

健康心理学修士。専門健康心理士。産業カウンセラー。

日常に活かす瞑想法として「マインドフルネス」を広めたいとの思いから2012年Mindfulness&Yoga Networkを設立し、実践会やWS、研修会を開催。同時に「動作瞑想としてのマインドフルネスヨガ」も紹介。現在ではオンラインで「マインドフルネス認知療法(MBCT)8週間プログラム」等も開催している。著書に『「動じないこころ」を育てるマインドフルネスヨガ』(池田書店)『「今、この瞬間」を生きる喜び マインドフルネス瞑想・ヨガ』(日本文芸社)。(HP http://mindfulness-yoga.jp)

 

 

【ワークショップ2】

「朴-佐々木式速読法における心身の統合」

 

佐々木豊文(NBS日本速読教育連盟理事長 工学博士)

 

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朴-佐々木式速読法の訓練に熟達すると、すべての文字を順に読み取りながら1分間に1万字以上の速度で読書することが可能になる。それは、心と身体が潜在的に有している力を引き出し、読書能力として統合することによって達成される。その結果、飛躍的な読書能力の向上だけでなく、私たちの知的機能を刺激し、精神の安定や知的処理能力の向上など様々な効用が得られる。本ワークショップでは、高速読書力を開発する訓練の原理や方法を解説し、訓練の初歩を体験していただく。

 

PROFILE

 大学時代、現代はテクノロジーと調和する人間自身の知性と感性の向上が不可欠と思い至り、その方法を模索し始める。ソウル大学校教育研究所の朴(パク)鏵燁(ファーヨゥプ)先生と出会いがあり、速読法にその可能性を見出した。1984年速読教室を開校し、自ら教えながら、脳神経科学や認知科学などの研究者と共同研究を行い、「速読脳」による脳や精神面の変化を追求してきた。現在も教鞭をとりながら、「速読脳」の意義を探究している。

 

【ワークショップ3】

「呼吸・声・動き~動きの中で休息する、気づきの中で休息する」

 

老沼陽子(コンティニュアム・ムーヴメント認定教師)

 

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世界がどれほど騒がしくても、それぞれの身体の内には静けさがあります。

自分の身体が安全と感じられる、もしその感覚を忘れていたのなら、今から自分で育んでいきましょう。

深い呼吸と動きの瞑想、コンティニュアム・ムーヴメントでは、呼吸、声(原始的な声)、穏やかでゆっくりとした、そして時に野生的な動きを通して、文化によって条件付けられた思考や行動様式、そして制限された動きや呼吸のパターンをゆるめ、身体の叡智、感受性、さらには癒しの可能性への道をひらき、探求していきます。

コンティニュアムではそれぞれ自分のペースで動きの探求をする“ダイブ”の時間を取ります。このダイブでわたしたちは、日常のあれこれや、騒がしいマインドを手放し、母の子宮へと戻り、羊水の中を漂っていた時のような、静けさと落ち着き、つながりの中にある安心を感じていきます。

 

PROFILE

コンティニュアム・ムーヴメント認定教師。

2008年にコンティニュアム・ムーヴメントに出会い、恋に落ちる。

2012年よりアメリカに渡り、創始者のエミリー・コンラッドより直接コンティニュアムを学び、彼女のビジョンと教えを身体を通して受け継ぐ。

2016年に教師認定を受け、現在は主に都内(品川区)とオンラインでクラスと個人セッションを行い、コンティニュアム・ムーヴメントを通して道の探求を続けている。

■備考&持ち物: 

伸縮性のある身体を締め付けない服装(ジーンズ・スカートは不可)で参加ください。

動きの決まったダンスではなく、激しい動きはありません。

ワークは主に座るか横になって行います。

ヨガマットなどの敷物。水分補給できるもの。