第8回記念大会2021抄録

13:10-13:50 基調講演

ポストモダン/ポストコロナの今、越えて繋がる世界を構想する

 

長谷川敏彦(未来医療研究機構 代表理事/本協会顧問)

 

CONTENT

時代精神(Age Spirt)は世界仮説(World Hypothesis)と根本隠喩(Root Metaphor)とに育まれる。近代の仮説は「存在は其々独立」で、隠喩は「神が創った機械」からなっている。西洋近代の「政治/科学/産業/思想等」はこの3点セットにより形作られてきた。それらは元来「現実/理念」「意識/無意識」「言語/非言語」「理性/感情」「通常意識/変性意識」と、対象を2分割する「ギリシャ/ローマ」の古代哲学の伝統に由来し、近代の心身2元論のデカルト哲学に集約されて、17世紀、ニュートンの科学革命を生んだ。18世紀、科学技術が産業革命に応用され、19世紀以降はそれが近代国民国家の軍事/経済/社会の基盤となって激しい国家間競争を煽るに至っている。20世紀には2つの世界大戦を経て環境の破壊、社会の少子高齢化、物質文明の爆発と危機を巻き起こした。

一方、米国西海岸では1950~70年代にかけ、「ビートニック/ヒッピー/ニューエイジ」と西洋の伝統に対抗するカウンターカルチャー運動が進行し、物質文明が批判され、新たな時代精神が醸成された。それがシリコンバレーをそしてソマティック心理学を産み出したのである。コロナ騒動を経て狂気の近代を越え、誰も経験のない超高齢世界を構想するには、過去から未来を繋げる新医学体系の基礎「進化生態医学」、自然と人間を繋げる日本古来の「本覚思想」、人と人を繋げる「江戸のネットワーク」、そして身心を繋げる「ソマティック心理学」が有用であると確信する。本学会の活動に大きく期待したい。

 

 

PROFILE

米国外科レジデント専門医取得後、ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程を経て1986年に旧厚生省に入省し国立がんセンター企画室長、厚生省老人保健課課長補佐、1989年JICA医療協力課課長、1995年国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長、改組に伴い2004年国立保健医療科学院政策科学部長、2006年日本医科大学医療管理学教授、退官後2014年未来医療研究機構を設立、現在静岡大学情報学部客員教授

14:00-14:40 教育講演

身体性と意識の数理

 

光吉俊二(東京大学大学院工学系研究科特任准教授)

 

CONTENT

幼少より始めた空手道、五十路を越えて七段となり、なにが本業なのか?迷っております。生業はといいますと、東大で人工自我の研究をして10年を越え、もっとも長い職業となりました。

 その前はベンチャー社長、そのまた10年前が彫刻家をやっており、この人生の先に、ついに蜃気楼でも見てしまったのか、4つの演算子を発明してしまいました。

 この演算子を使った「量子ゲート」という大層な名前の特許を東大が出してくれました。しかし、この数理は、武道や実業、工学の経験の末、機械に心を持たせるため、

 自らの心的メカニズムを単純な数理に落として作ったものでした。初期の人工自我はペッパー君に標準搭載されました。

 

 

 

PROFILE

東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻。特任准教授。彫刻・建築家としてJR羽犬塚駅前彫刻や法務省の赤レンガ庁舎の設計などをしてきた。

独学でCG・コンピューターサイエンス・数学を学び「音声感情認識ST」の原理とアルゴリズム・特許を取得する。

工学博士号取得後、スタンフォード大学・慶應義塾大学を経て、現在東京大学で教育・研究に従事。極真館(フルコンタクト空手七段)役員、征武道格闘空手師範。