· 

講師インタビュー 第9回 内田佳子さん

 

 

今日の講師紹介は、ソマティックフェスタでビオダンサのクラスを担当いただく内田佳子さん、聞き手は藤本靖さんです。

 

藤本さんがどう掘り起こしていくのか、そして内田さんがどう応えるのか注目です。

 

 

 

 

 

藤本 ―― 僕がビオダンサを初めて体験したのは、去年友人に誘われて参加したWSです。

 

たしか、外国の先生をビオダンサのスクールに呼んだ時の一般向けのWSだったと思うんですけど、「人と出会う」ということをじっくり味わうWSでした。

 

その先生がデモで、初対面の相手とゆっくり近づいていく、どういう人か感じながら感覚で出会っていく、それは生命と生命の出会だった。人と出会うということはこういうことなんだと。今は人と会う時に時間がなく、関係を持っても薄っぺらく、表面的につながっているようなことが多いと思うけど、ゆっくり、少しずつ出会っていくことの大切さが伝わってきたんですね。

 

これって、今の日本人には本当に大切なことだと感じました。

 

 

 

内田 ―― 今の話で、すでにビオダンサの大切なキーワードがいくつも入っていたんですけど、ビオダンサの創始者ロランド・トーロ・アラネダは、ビオダンサを「人と人との出会いの詩である。」と定義しています。

 

ロランドは、第二次世界大戦を経て、その後も南米の軍事政権の圧政の中で、人類への失望を感じる一方、子どもたちの成長を目の当たりに、希望も感じていました。彼の周りに集まってくる人たちと話をしているなかで、人生に期待することに普遍性があることに気付きました。後にそれらを大まかに分類したのが、生命力、セクシュアリティ、創造性、情愛、超越性という5つのラインです。このラインが相まって「今ここに生きる」という体験が深まっていきます。ビオダンサでは、「今ここに生きている」ことを鮮烈に感じる体験をヴィヴェンシアと呼んでおり、それは、まさに人と人が出会うなかで起きていくんです。

 

(詳しくはこちらhttp://www.biodanza.jp/What.html

 

 

 

藤本 ―― 今はどんな活動をされているんですか?

 

 

 

内田 ―― 今年の4月までは、ファシリテーターの養成講座とレギュラークラスを持っていました。

 

4月に養成講座が一区切りついて、長年やっていたレギュラークラスも、新たな方向を探るため、一旦クローズしたところです。現在は、以前から季節に1回ほどやってきている女性のためのクラスを継続しつつ、今期はPARC自由学校で隔週全12回のコースを提供しています。PARC自由学校の講座では、19名の受講生の内、多くの方が初めてビオダンサを体験する方たちです。

 

最初から半年間まとめて申し込む講座ということもあってか、隔週とはいえ、次第にグループの信頼が生まれてきているように思います。先日も、参加者のお一人が、自由と安心を感じる、とおっしゃっていました。

 

ビオダンサのクラスでは、いろんな感情がやってきます。すべてバラ色というわけではありません。でも、どんな感情が湧いてきても、グループで分かち合うことができるような関係性もまた生まれていきます。定例メンバーで継続していくことの大事さを改めて感じています。

 

 

 

藤本 ―― ビオダンサの魅力はグループワークであるという点にあると思います。日本人には変な集団意識があって、集団の中でみんなと同じになろうとする。多様性を受け入れる中でグループと共に自己成長が起こるグループダイナミクスの重要性がなかなか理解されないという状況があります。ビオダンサのワークではまさにそれが体験できます。

 

 

 

内田 ―― そうですね。クラスを体験して、また日常に戻って、その間にいろんな経験をして、またクラスに戻ってくる。その経験をどう感じたか、次のクラスでシェアするんですが、その内容がまた他の人を刺激するんです。課題が見えてきたり、可能性を広げてくれたり。そして、また踊って自己表現する。

 

 

 

藤本 ―― 内田さんとしては、これから先、どうなっていくといいと感じていますか?

 

 

 

内田 ―― そうですね。ビオダンサを必要としている人にますます届けたいですね。その人が、個人として、人間として、生命体として臨む方向にポテンシャルを開いて、可能性が全うされるような。

 

ビオダンサの非日常を日常に持ち帰ってもらって、現実を創造していく、非日常のパラダイスと日常が、徐々に接近してくる、というのが統合に向かっていることだと思うんです。

 

自分のポテンシャルを開いていく時は、変容の時ですよね。それは、自分にとって何が喜びであるか気付く時でもあり、自分の影が何かに気付く時でもある。影が見えるのは苦しいです。今まで見ていない、感じていない鈍感力でやり過ごしてきたことを見るわけですから。そこを、グループの力で乗り越える場を提供していきたいですね。

 

 

 

藤本 ―― なるほど、それはどちらかというとあくまでビオダンサの教えをベースにした話ですね。もっと、内田さん個人として大事に思っているテーマのようなものはないですか?

 

 

 

内田 ―― それを言ったら、今まで封印していたんですけど・・・

 

時々、安心して一緒にいられる人たちと、ただご飯を食べていることがあまりに幸せで、実は、自分は、こんなひとときのためにビオダンサをやっているんではなかろうか、とさえ思います。

 

 

 

藤本 ――― それは、ビオダンサの人たちと一緒にいることでそんな気持ちになる、ということですか?それとも、ビオダンサを通じて、いろんな人と楽しくいられる自分になれた、ということですか?

 

 

 

内田 ――― 後者ですね。それは、ビオダンサの経験を経た今、そう思えます。すべてが安心できる場所かというとそうでもないので、安心できない所に近寄らないことも重要ですよね。

 

ただこのことは、みんなに言うと全然分かってもらえてない気がして、はぁ?って反応があったりしたので封印していました(笑)。

 

 

 

藤本 ―― いやいや、それって何より大事なことと私もおもいますよ。だっていくら外で仕事を頑張って、人の役に立っていても、夜、家に帰って一人でコンビニ弁当食べてるって、なんか人生満たされてないって感じますよ。

 

 

 

内田 ―― 初めて他の人に分かってもらえた気がします(笑)。

 

 

 

藤本 ―― いやいや、人と一緒に楽しくご飯を食べるって何より大事ですよ。

 

 

 

内田 ―― サルサバーに踊りに行っても、パートナーの粗探しをしなくなりましたね。その人の良い面が見られるようになった。

 

 

 

藤本 ―― それで、ビオダンサで踊りたくなるような身体になるにはどうしたらいいんでしょう?やっぱり日本人はダンスとなると憧れはあるけど、なかなか自分から踊ろうとしない。周りを見てしまう。そこで、内側から踊りたくなるような体になっていけば、ビオダンサにも参加しやすくなると思うんです。

 

 

 

内田 ―― そうですね。日本人には踊りを敷居が高いものと感じる人も多いと思います。私は、野外で、生のサンバの即興演奏を初めて聴いた時に「これだ!」「私はこれがしたい!」「踊りたい!!」と思いました。ヘレンケラーの水のような体験とでもいえるかもしれません。ビオダンサでは、音楽が身体の動きを導いてくれます。

 

 

 

藤本 ―― 踊るための努力はいらない、音楽が内側から踊りたくなるように導いてくれるということなんですね。佳子さんは、去年、今年とフェスタに出演されますが、今年はどんなクラスにしたいですか?

 

 

 

内田 ―― 去年のフェスタは大会の前夜祭という位置づけもあって、大会までも含めて出会いのためのクラスにしようと思っていました。

 

参加者を見ながらになりますけど、5つのラインで、活発なものから静かなものまで、その中で参加者がいろんな可能性を見出せるようなクラスにしたいです。バランスのよさがビオダンサのよいところだと思うので、そこを感じてもらえるようなクラスをしたい、そんな感じです。

 

 

 

(インタビューアー 藤本靖、山田岳)

 

 

 

 

ソマティックフェスタ2017 9月29日(金)

 

 

 

ビオダンサ®ワークショップ ~躍動とつながりのなかで

 

カルチャー棟4F中練習室43 12 :45~14:30

 

お申込み https://spnworkshop.handcrafted.jp/items/7158768

 

 

 

会場:国立オリンピック記念青少年総合センター  カルチャー棟

 

 

〒151-0052 東京都渋谷区代々木神園町3−1

 

【電車】 

小田急線 参宮橋駅下車 徒歩約7分

地下鉄千代田線 代々木公園駅下車(代々木公園方面4番出口) 徒歩約10分

【バス】

新宿駅西口(16番)より 代々木5丁目下車

渋谷駅西口(40番)より 代々木5丁目下車