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講師インタビュー 第6回 玉置秀年さん

 

 

「護身術 ~身を護る技からの発想~」 玉置秀年先生(護身術研究会代表)インタビュー

 

玉置秀年先生をソマティックフェスタに推薦した長谷川智です。彼は、故佐藤美知子師の元で一緒に精神的修行をした私の弟弟子です。そして、山での命がけの修行の際、万が一の時には骨を拾ってもらう約束をしている山伏の後輩でもあります。

 

当初、「とにかく超人 的に素早い彼の動きを皆さんに見て欲しい。」そんなシンプルな動機から玉置先生を推薦しました。ところが、私の予測をはるかに上回る深まりを見せそうです。フェスタ当日何が飛び出すか、私も楽しみにしています。

 

 

 

8月上旬、今回のソマティックフェスタ実行委員会のメンバーで、出羽三山リトリートに行ってきました。その際、久保会長はじめ9人の実行委員の皆さんに、玉置先生のミニワークショップを体験して頂きました。

 

 

 

「玉置氏のミニワークショップを受けて衝撃を受けた。相手と向かい合ったとき、まさに自分の人生の有り様がそこに浮き彫りにされているような深い気づきがあった。そして、今の自分に何が必要かということを否応なく知らされることになった。このような深い体験の場にいられたことを本当にありがたく思う。」 藤本靖氏

 

「“護身術?”、はじめに聞いたときは、身心=ソマティックとの関係がわかりませんでした。“身を護る”という極限状態で、相手=世界と接したときに、今までとは違う次元で自分の身心と向き合い、そこに気付ける可能性を感じました。“護る”とは、単純に相手を“倒す”ではなく、狂気に乗らず、そんな中でも自由な身心を保ち、むしろ狂気に至った相手を思いやる…。玉置先生は、呼吸や瞑想、滝行など多彩なバックバーンと豊富な経験をお持ちの本当に素敵な先生でした。」 柳沢琢美氏

 

「逆縁をどう収めるか・・・  人生には、順縁ばかりではなく、逆縁に出会うことも多い。その時にどう収めていくかという問いに対し、相手をとことんまで屈服させるというやり方もあれば、自分が徹底的に我慢するというやり方もあるが、多くは結果的にその中間で収まったり、収まってしまったり、といったところであろう。護身術の中で、気持ちをどう収めるかということであれば、それはもはや武術の枠を超え、ソマティック・サイコロジーを含むものであり、さらに、なぜその逆縁に出会ってしまうのかという所を突き詰めれば、それはソマティック・スピリチュアリティまで領域を広げる。そんな気付きのあるワークショップであった。」 山田岳氏

 

ご参加頂いた皆さんの感想です。ワクワクしてきませんか!

 

 

 

ミニワークショップで行なったワークは、「相手と正中線を合わせて立つ、突く、それをかわす」という、ごく単純なものでした。ところが、正中線を合わせて立つことができないのです。合わせているつもりが合っていない。指摘されなければ合っていないことにも気づけない。驚きの体験でした。真正面に人に立たれ、目を合わせられると、緊張するものです。その緊張感を避けて、人は微妙に正中線をずらしているのだそうです。

 

 

 

玉置先生によれば「人は皆、あらゆる場面で、嫌なもの、怖いものは避けたいと思い、実際に避けています。エッ?と思われるかもしれませんが、ご自分の日常を振り返ってみて下さい。例えば、何となく嫌いな人、怖い人のことを避けていませんか。誰しも無意識にやっていますよね。しかし、それを無意識にやっていたのでは、護身術になりません。嫌なものに対したときの緊張感を自覚し、それに対する自分の反応パターンを知る。そこから、護身術が始まります。」とのことでした。

 

 

 

以下、玉置先生との一問一答です。

 

Q.ソマティックのプラクティショナーの皆さんを相手に、ミニワークショップをやってみての感想は?

 

A.ただ対峙するだけで、あんなに深い身心の気づきを得てもらえたことに驚きました。普段の指導では、いきなり微妙な感覚を感じ取ってもらうことは難しいので、練習を重ねる中で徐々にわかってもらっています。一番基本となる所をおもしろいと思ってもらえたことは、嬉しかったです。

 

 

 

Q.フェスタでは、どのようなワークをなさるご予定ですか?

 

A.これまで私が身心修行的な視点から考えてきた「相手との向き合い方」「自己の内面との向き合い方」をご紹介させて頂きます。それを皆さんがソマティック的な観点で感じて頂き、何かのヒントにして頂ければと思います。

 

 

 

Q.もう少し具体的には?

 

A.1つは、相手との向き合い方 ①正中線を合わせる、外す ②気配を出す、消す。そしてもう1つは、素早く動くためのヒント ①気を下げる ②足・関節を自由に動かせる状態にしておく。等です。

 

それらを武術的なワークを通して実感して頂きながら、進めていきたいと思っています。

 

 

 

Q.玉置先生の目指す護身術とは?

 

A.力で相手を制すること、巧みな身のこなしで相手をかわすことが、護身術ではありません。相手の心に寄り添い、思いやることで争いを鎮め、その場に居るだけで場が整い、人々が安心し、明るい気持ちになれる。そんな存在になることが、私の目指す護身術です。そう簡単にそういう存在にはなれませんから、そうなることを目指して修行する日々です。

 

 

 

武術の心得のある方はもちろん、武術の経験のない方、女性や年配の方も、どうぞ安心してご受講下さい。玉置先生が奈良で開催しているキッズ空手教室は大盛況。護身術研究会では、多くの女性が学んでいらっしゃいます。久保会長が新しい分類概念として提案された、より多くの老若男女に受け入れられる「ソマティックアーツ(身体術)― 身体を通じての気づきを得るための芸と術」を体感して頂ける場となることと思います。

 

(インタビュアー 長谷川 智)