講師インタビュー 第2回 長谷川智さん

長谷川智先生は、今回、ソマティック・フェスタ、ソマティック心理学協会大会の両方に登場いただくなかで、インタビューでは、フェスタでやっていただく「ホネナビ」についてお話をうかがいました。一方、先生のメソッドの底を流れる修験道としてのご研鑚、生い立ちなどの話も聴かせていただき、先生の情熱、チャレンジ精神、創造の喜びが生き生きと伝わってきました。

 

 

 

 

◆「ホネナビ」は、先生が修験道で伝えたいと思っていらっしゃる重みのある部分をよりポップな形で紹介していると理解してもいいでしょうか?

 

◇ポップという意味では、修験道が、歌舞伎や演芸へと展開していったのも、もともと大衆相手だったからといえます。山伏祭文が浪花節になっていったのもその一例です。修験者たちのやっていたことが、広く文化に伝播していったのです。なので、出処としての修験道そのものがポップだと言えます(笑)。

 

骨ナビに関して言えば、誰でも気軽にできる自己整体的な方法だというのがポイントです。

 

 

 

◆「ホネナビ」にたどりつくまでの経緯はどうだったのでしょう?

 

◇もともと剣道をやっていたのですが、武道にしても、伝統芸能にしても、人格形成を行わないものは邪道だ、と教えられたこともあり、人間形成としての行には以前から関心がありました。

 

体育集団を観察して、社会心理学的観点から、集団の中の言葉になっていない暗黙の掟の部分の構造を研究したりもしましたが、どうもずばりと的を射ていない感じがして、今、ソマティックと言われる分野で盛んに行われている、身体が心に大きな影響を与える、ということの実感、本来的な体育というものが、人間形成に役立つものであるという実感がほしかったのです。

 

もっと遡りますと、小学校5年生のころ、川の近くですすきを見ていたとき、その穂の、「ひゅっ」という動きのなかに、悟れるような人間になりたいと思っていました。

 

 

 

◆幼少期からそんな風に思うような、先生の生い立ちや環境についてもう少しお聞かせください。どんなお子さんだったのでしょう?

 

◇疳の虫の強い子でした(笑)が、直してくれる山伏がいるような環境でした。

 

生まれは新潟の栃尾、今で言う長岡の一部、山岳僻地です。明治元年に修験道禁止令が施行されるまでは、太夫様と呼ばれ、村の小さな政を差配する半僧半俗の人たちが多数いました。何しろ田舎ですから、私が子どもの頃にも、山伏の方たちは身近にいて、日頃の相談に乗ってくれたり、即身仏のひとつの形である入定塚なども残っていたり、そういうことは生活の一部でした。

 

大学院を出るとき、実は深いところでは、今やっているような道に行くべきだとわかっていながら、大学が勧める安定した就職先も捨てきれず、進路に悩んでいましたが、地元の山伏の方に会いに行き、マッサージを受けながら話を聞いているうちに、この世の損得をポーンと捨てることができました。今思うと、私のソマティック体験としてはとても大きな出来事でした。

 

もうひとつ大きな出来事といえば、30才になったとき、瞑想・滝行の師匠である佐藤美知子氏から、「あなたは褌一本行者になりなさい。」と言われたことです。「褌一本」は、滝行に入るときのスタイルですから、その意味もありますが、知識、財産、などの付属物を捨てる、という心理的かまえもあったと思います。そうやって、大学で教えるにも、骨ナビを一般の方にわかりやすく教えるにも、「褌一本行者」としてのアイデンティティに還ることで、生き方がとても楽になりました。

 

佐藤先生は、踊りもやっていらしたので、骨の動きの大切さについては早くから言及されていました。骨をメインに動かし、関節のアンバランスを整えることにより、身体のバランスを取り、気のエネルギーのバランスを取るということを、30年くらい前から研究しておられました。先生から、「身体のことをやるなら、まず骨を学びなさい。」とアドバイスをいただきました。

 

 

 

◆ではそろそろ、今回フェスタでやっていただく「ホネナビ」について教えてください

 

◇そもそも「ホネナビ」はこれまで長年の活動の集大成でもあり、数年の研究開発を経て、2009年にメソッドとして発表しました。今回のフェスタではこの「ホネナビ」をその中のメインメソッドである「ホネラブZEX 体操」を通して紹介していきます。

 

 

 

◆「ホネラブ」? 修験者長谷川先生と「ラブ」ですか…?!

 

◇はい。まさに修験者として大衆相手にした時にこうした発想の拡がりも出てきますし、“難しくなく、痛いことをしない、誰でもできる”というのがモットーです。対象を3歳から100歳までと年齢性別に関係なくでき「幸せになる」ことを目指しています。

 

 

 

◆「幸せになる」とは大きな目標ですね…

 

◇はい。これは全ての日常動作、スポーツ、趣味等を怪我や故障をせずに効果を上げるために欠かせないエクササイズになっています。一般には別々に考えられがちな「健康」と「パフォーマンスの向上」を両立するのがホネナビなのです。

 

 

 

◆実際にはどんなことをするのですか?

 

◇鍵は「骨と関節」で、ここを刺激し意識して動かしていきます。パイプの詰まりを取り、呼吸でエネルギーを全身に流していく感じです。

 

そして途中からはストーリー仕立てになっていて、このために創った音楽に合わせ、ストーリーのイメージ-宇宙創世や日本神話(スサノオの物語)を取り入れ、より円滑に調和的に全身の骨と関節をシンクロさせて動かしていきます。

 

実はこのシンクロ-体の部分を同期・同調させることが肝心で、これにより私たちの体は、より高度なチームワークを作っていくことができます。まさに賢い体の使い方を身につけていけるといえます。

 

 

 

 

 

◆今回のフェスタで長谷川先生がこの「ホネナビ」をやろうと思われたのは何故ですか?

 

◇今、話したようにシンクロさせて動かすこと-実際には動作と呼吸とイメージをシンクロさせていくのですが、そうすると、なにか操られている感覚が出てきます。

 

思うにそこには「ムドラ(印)」的要素が織り込まれていて…例えば動きがシンクロすると原始的・本能的楽しさが出てきて、フッと笑ってしまうことってありますよね…そういう動きと「こころのつながり」についてアプローチしてみたいなと思ったのです。日本人は「勤労は尊い」というけれど、まさにこうした動きに基づき働くことの楽しさ、そういうセンスを古来から持っていたのではないか…と思うのです。

 

よく「こつ」を使うと言いますが、まさに「骨」を上手に使っていたのでしょう。日頃、教えている体を扱う分野で「こころのつながり」を扱うのは難しいのですが、ソマティック・フェスタだからこそ、そこをやってみたい、やれるのではないかと思っています。

 

「ホネナビ」は実のところ、動きを通じて日本人の深層心理(神話の原型)へアプローチできるようにと作りました。例えば、身体表現のナビゲーションには多くの大和ことばを使っていきます。なのでフェスタの講座でも、この原型へのアプローチがかかるであろうと思います。「ホネナビ」は、私にとっては多角的・多元的に心と体にアプローチしていく開発途上の試みなのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆(インタビューアー感想)長谷川先生へのインタビューは約3時間に及ぶ濃厚なものでした。ここに全てをご紹介できないことは残念ですが、その真髄と妙味は今回の講座で長谷川先生が余すところなくナビゲーションしてくださるでしょう。本当に楽しみです!乞うご期待!

 

 

 

(インタビューアー 内田佳子、荒井英恵)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソマティックフェスタ2017 9月29日(金)

 

東洋体育の心理学 〜経絡刺激で心と身体を整える       15:00~16:45

 

カルチャー棟4F・中練習室41

 

お申込みはこちら https://spnworkshop.handcrafted.jp/items/7158647

 

 

 

会場:国立オリンピック記念青少年総合センター  カルチャー棟

 

 

〒151-0052 東京都渋谷区代々木神園町3−1

 

【電車】 

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