言語哲学者、心理学者のユージン・ジェンドリン(1926-2017)の研究から生まれたもの。問題としていることなどに対して、自分がどう実感しているか(フェルトセンス)に気づき、自覚し、表現していくことを促す。フォーカシングをする際は、「フォーカサー(Focuser)」、「リスナー(Listener)」、「ガイド(Guide)」といった役割を持って行う。今の感情などに気づいていくことで、次のプロセスへと展開していく。
主な参考図書
『フォーカシング』(福村出版、1982)
『ジェンドリン哲学入門−フォーカシングの根底にあるもの』(コスモスライブラリー、2009)
身体にはエネルギーが流れているという経絡理論と、それが「思考場」につながっているという独自の理論に基づき、経絡上のツボなどを手で軽くタッピングすることで、思考場にアクセスし、感情を解放するというメソッド。TFT(思考場療法®︎)は、哲学者であり、臨床心理学者のロジャー・キャラハン(1925-2013)が創始し、EFTは、そのメソッドを元にゲアリー・クレイグが開発。セルフケアにもよく使われる。多くの分派もある。
主な参考図書
『TFT(思考場)療法入門−タッピングで不安、うつ、恐怖症を取り除く』(春秋社、2001)
『1分間ですべての悩みを解放する!公式EFTマニュアル』(春秋社、2011)
ニュー・カウンセリングとは、心理学者の伊東博(1919-2000)が開発した心身一如のカウンセリング法。問題の改善ではなく、クライアント自身が「気づき」を得ることをセラピーの目標としている。エサレン研究所での主にアリカシステムなどの体験をもとに、その内容は、「人間の基本的な動作(立つ、寝る、座る、歩く)」と、「さまざまなものとの関わり方(人間、身体、自然など)」にフォーカスを当てており、数十種類のセルフワークがある。翻訳による「センサリーアウエアネス」の紹介など、日本におけるソマティックの先駆的な役割を果たしたと評価できる。
臨床動作法とは、日本の臨床心理学者・成瀬悟策(1924-)らが創始した、動作から心の問題を改善するセラピーのこと。肢体不自由な脳性まひの子どもが、催眠状態になると動けるようになったことからその研究が始まった。臨床心理士などがクライアントと面接を行う際に、クライアントが発する言葉ではなく、動作を変えて行くことで、自己存在感や安定感を持つことができるという。脳性まひのほか、統合失調症、そのほかのメンタルの悩みを持つクライアントに対して取り入れられている。
主な参考図書
『目で見る動作法−初級編(DVD付き)』(金剛出版、2013)
『懐かしさ出会い療法−動作法による懐かしさの活性化をめざした回想法』(学苑者、2011)
SAT療法とは、筑波大学の宗像恒次(1948-)が開発した、独自の心理セラピー。SATは、「Structured」「Association」「Technique」の略で、構造化した手法という意味を持つ。SAT療法では、考え方よりも、「感じ方」が影響すると理論をベースに、傾聴や質問、イメージなどの構造化された手法を用いて、クライアントのひらめきや直感を引き出し、右脳の働きを活発化していく。それにより、過去の記憶に対する認知を変え、課題を解決するとしている。
主な参考図書
『SAT療法』(金子書房、2006)